2006.06.29
_ [映像][映画]嫌われ松子の一生
鰯の頭じゃないけれど、神の存在がそれに対する信仰の有無によって左右されるのだとしたら(思い出すのは手塚一郎の小説でディを失敗するガーゴイルとか)、主人公の受難と、その生涯を知悉してある種の啓示を得るに至る甥の一幕によって製作者がこの映画で描きたかったのは、神話の成立というか、八百万にもう何柱か神羅万象チョコ枠をオマケするような類の事だったんだろうな、という風に理解したんですけど。なんだか、その甥の描写とクライマックスのカータルシースーなシーケンスがえらく取ってつけたようで、裏読み臭がしてうまくいってない感じ。クロニクル物としては、小道具や美術もあくまで時間経過を説明する役に留まっていて、特にそれで押し出すつもりもなかったような。うーん。テンポとか画面作りとかはいい塩梅に乗せてってもらえて、ツルリと気持ちよく観られてはしまうんだけど、フックに欠ける。スコンと救いのない話は嫌いじゃないのだけどな。『下妻物語』の時に比べると、やってる事はあんまりかわらないように見えるけど、CM畑の監督のネガ部分が出た格好なんですかね。
ああそう。観てる最中に脳裏に浮かんだのは『立喰師列伝』とパトレイバーの映画の最初の方。これくらい「言いたいことがあるんですッ 」って声高に言ってくれると、親切でいいんだけどな。あとね、そうだ、あれ。『涙のランチョン日記』、『おひっこし』のケツに収録されてるやつ。あれがすげー想起されて困った。今読み返してみたら僕如きの知らないところに共通の元ネタがあるんじゃねーかと思うくらいだったけど(一代記ってフォーマット自体がまあテンプレではあるけども)、現代日本を舞台にする以上、女性の身に降りかかる艱難辛苦のバリエーションにも自ずから限度があるということなのかもしれない。
_ [マンガ]加藤伸吉/乱漫
加藤伸吉の単行本が出てる! どこで描いてたの? 小説現代? おー、すげえ。絵柄も表現もガシガシ遊んでるなあ。楽しそうだ。マンガ誌よかこういう媒体のがやりやすいのかなあ。話が弱いのも相変わらずだなあ。でも、後書きで言ってるところの『器用貧乏』てのはちょっと違うだろと思うけど、風呂敷オーバー目の原作があったほうがやっぱり活きる人なんじゃねえのか、という気はする、やっぱり。
_ [とるにたらない]
映画の後、自転車で帰ったんだけれど、普段ちょっと辛めのギアがスルンスルン踏めて驚く。踏めるっていうか、いわゆる回せてる雰囲気。ケイデンス高め安定だと楽ってのもよくわかる。わあ楽しい。なんだこれ。凪いでる夜道だからだろうか。しかし、バイクを失って自転車でプランコプランコするようになってから、雨に加えて風まで嫌いになってきた。カメハメハ家の小倅の言い分も今なら全くよく理解できる。

