ザ・グランドファーザー : おじいちゃん

the grandfather

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2004.11.11

_ [本][感想]佐藤亜紀/バルタザールの遍歴

本: バルタザールの遍歴文春文庫 一つの体に二つの魂を持つウィーンの没落貴族、メルヒオールとバルタザールが往く、酒と薔薇の20世紀初頭。陰気で惚れっぽく、すぐ落ち込んで酒に逃げ、肉体を共有する片割れと惚れた相手以外には徹底的に無気力にして冷淡、生まれついてのボンクラ、デカダンスの体現者。失恋しては酒に溺れて、悲嘆にも暮れ飽きると悪ふざけ。自業自得と周囲の悪意が、彼らをウィーン・パリ・チュニジアへと追い落とす。高等遊民を気取っても、肝心なところであふれ出る間抜けさにおかしみを感じるし、失恋を兄弟二人してウジウジ悔やむ嫌気性のナイーブさと、近くにいすぎるが故の、空気のような兄弟愛には、萌え萌えしげなニュアンスを気取ることもできようと思う。人間離れした人間くささ。WW1前からナチスの台頭辺りまでのヨーロッパの雰囲気・風俗を織り込んだ構成、文体も手練れ感が漂うけれど、この格調高さにマンガ脳はブルズアイ射竦められて、ブコウスキーを読んだ時に少し感じた、しっくりこない読後感。エンターテインメントとカタルシスに浸かった読書野には辛いジョブを与えてしまったかも。
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